まどろむまどログ   - 「快」を求める日々の記録 -

日々の暮らしを心地よいものにしてくれるモノ・コト・ヒトの記録です

時をかける【元】少女たち

私は大学時代“混声合唱団”に所属していました。
当時のメンバーで九州在住のひとつ年上の先輩が教員研修のため上京するとの知らせに、都合のつくメンバーで8月の終わりに集まろうということになりました。

宴会好きの合唱団だった私たち。
この日も「昼の部」「夜の部」と二部構成。私は「昼の部」のみに参加。ランチをとりながらのおしゃべりや、懐かしい学校めぐりを先輩たちと共に楽しみました。
先日の日記に書いた「自由の森学園」ではないけれど、私の通っていた大学もとてもユニークな学校なのです。

学生への連絡用掲示物が張り出してある通路は「和光銀座」と呼ばれ、その和光銀座の脇にあるほんのささやかな草むらの部分に誰が設置したのかわからないでっかい石とブロックで出来た“かまど”がいまだにあります。

その一角はこれまたなぜか「ホーチミン広場」と呼ばれ、文化祭やイベントのときに、おいしいご馳走を煮炊きして楽しい宴が繰り広げられたものです。学内にかまどのある大学というのも珍しいですよね(*^-^*)。

ボロボロだった校舎も今は近代的な高層建築となり、図書館棟には“しゃべるエレベーター”までついています。
通学当時のおもかげのある場所より、目新しい場所の方が多くなりました。

それでも「下落合やきとりムービー」にも登場した池(というか小さなプールのようないけす)や、校内を我が物顔でうろうろする猫、気ままに書き散らした立て看板、ゲリラ的に庭に建てられたほったて小屋の部室棟などを眺めていると、20年の時をあっという間にタイムスリップ。

幸いにも、学内の一室でおしゃべりを楽しむ機会にも恵まれ、学生時代、研究室棟に入り浸っていた乙女な時間を追体験し、思う存分楽しいひとときを過ごし“時をかけた”元少女たちだったのでした。

在学当時、私たちはグリークラブの部室棟を間借りしていました。混声合唱団の備品や楽譜などを置かせていただいていたのです。

今はすでにグリークラブはなく、その部室は混声合唱団が使っているのですけれど、いまだに“グリークラプに間借りしたままの状態”で名義変更していないというのには一同大笑い。
どこかの時点できちんと名義を切り替えておけばよかったものの「部室が使えればいいや」ということだったんでしょうね。
このあたりのこだわりのない感性は、いかにもわが母校らしくゆるゆるな感じでとても好きです。

この懐かしい部室棟も今年で取り壊されるとのこと。
ノスタルジックな感傷に浸る【元】乙女たちは、長いこと洗っていない上履きのごとき異臭を放つ部室棟の前で記念撮影を行いました。

校内のあちこちでダンスの練習をする学生さん、掲示物のはしはしに見え隠れする当時と変わらぬ自由な校風にホっと心が和みました。お互いのこどもの学校の話や悩み事なども話題にのぼったのですが、重たい話題が出たときでも学生当時の口調そのままに、素顔のままの自分をさらけ出せました。

一日おいた土曜日には、また顔ぶれの違うメンバーで宴が持たれたとのこと。どうやらこの流れはしばらく続き、大きな同窓会(もしくはOB会)開催へとつながりそうな予感です。

20年の月日が流れ、人の親となり、こどもたちが自分の学生当時とおなじくらいの年に育ったこの時期に再会し、お互いの悩みや状況を持ち寄るといことに、何やら意味めいたものを感じます。

学生時代のみんなも大好きだったけれど、私は20年経った今のみんなの方がもっと好き。
世の荒波にもまれ、夢や希望をあちこちに落っことしてきてしまったけれど、それでもどこかで自分らしくあろうと歩いている姿はどのメンバーにもあって、胸の中がほっこりとあたたまりました。

年を取るのも悪くない。
過去にいるのも未来にいるのも“私”。
自分の軸を見失うことなく進んでゆけますように。
そして、どの家のこどもたちも健やかに自分の道を歩んでゆけますように。各地域の学校事情を聞き、こどもたちが少しでも楽しく過ごせるよう痛切に願った一日でもありました。