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まどろむまどログ   - 「快」を求める日々の記録 -

日々の暮らしを心地よいものにしてくれるモノ・コト・ヒトの記録です

『1000年の山古志』が手渡してくれたもの [TV・映画・ラジオ]

地元のイベント情報などをいつも教えてくれる友人がいます。
「6月に上尾で『1000年の山古志』という映画の上映会があるよ」と教えてもらいました。


お隣のさいたま市とは違って、上尾には映画館がありません。
コミュニティセンターや公民館で、こども向けの映画や新聞屋さんの顧客サービスのために、ごくたまに映画が上映されることはありますが、上尾で映画を楽しめる機会はなかなか巡ってこない(^^;


どんな映画を上映するんだろう?
”山古志”と言えば、7年前に中越地震があった所よね?
検索をかけてオフィシャルサイトを拝見してみました。


○映画『1000年の山古志』オフィシャルサイト
 http://1000yamakoshi.main.jp/



この映画は、中越大震災後の4年にわたる山古志村の復興の記録なんですね。ふるさとの再生にかけた人々の努力と想いが詰まった映画。3月11日の東日本大震災を経験した私たちにとって、これから歩む道のりを照らしてくれる映画なんじゃないかしら。


一刻も早く映画が見たくてうずうずしてきた私。友人は、上映会に先立って行われた試写会へと誘ってくれたのでした。


2004年10月23日、新潟県中越地方を襲った中越大震災。はやいもので、あれからもう7年が経とうとしています。
あの震災で、村のすべてが崩壊してしまった地域がありました。
山古志村です。


この映画は、震災前に『掘るまいか』という手掘り中山隧道を記録した映画が評判となっていた橋本信一監督が、山古志の地で引き続きカメラを回し続け、復興にかける人々の姿を記録した作品です。
プロデューサーは武重邦夫さん・関正史さん・川島正英さんのお三方。ナレーションは長谷川初範さん。

被災された皆さんにそっと寄り添うカメラと、時にあたたかく、時に力強く胸に響く語りに引きこまれ、開始直後からまるで画面の向こう側で私たちも一緒に佇んでいるような気持ちになりました。


美しい棚田。村の鎮守様のお祭り。伝統行事としての闘牛。
大家族のような集落の人々の絆と笑顔。
震災前の山古志には、溢れるほどの豊かな日本の原風景がありました。
それが一瞬のうちにして壊されてしまった。
先祖から代々受け継ぎ、大切に守り続けてきた土地と暮らしが、一瞬のうちに壊滅的被害を受けてしまったのです。


映画をまだご覧になっていない方のため詳しいエピソードは控えますが、どうしても涙が堪え切れなかったシーンをひとつだけご紹介しようと思います。


それは棚田の復旧にいどんだ上田照枝さんの姿です。


上田さんは先祖から受け継いできた水田の一枚を「老後の仕事場」として、大切に守り続けてきました。その水田が全壊。土砂に埋もれてしまったのです。


行政の手により土台の復旧は叶えられたものの、造成の関係で以前の水源よりも高い位置に水田が存在するようになってしまいました。


田圃まで水を引けるようにしてほしい、とお願してみたそうなのですが、狭く急な斜面のため、重機を下ろすことが出来ない場所とのこと。普通なら、ここで諦めて愚痴の一つも口にすると思うのですが、上田さんは自らで打開策を講じようと考え行動します。力強く、清々しささえ感じる潔よさで、ひとつ、またとつ、と困難を乗り越えてゆくのです。母と同じくらいの年齢の女性が、自分で工夫を凝らし、体を粉にして動き、自らの運命を、そしてふるさとに命と元気を甦らせるために行動する。友人に涙を見せたくないと堪えていたけれど、みるみる画面が滲んでいくのがわかりました。


鎌を持ち、枝を叩き、道なき所に道を切り開いてゆくその姿に、勇気と元気をたくさん貰い、私は涙をにじませながら、いつしか唇に頬笑みが戻ってくるのを感じました。


長い年月をかけ、家族を守るため、自らの夢のため築き上げてきたモノを、一瞬にして奪われてしまった山古志の人々…。ふるさとへの思いを抱き、それぞれの立場・世代を超え、自らが出来得る精一杯の更に上を尽くして未来へ種をまく姿に心打たれ、心に希望が灯った120分間でした。


6月の上映会では私もささやかながらお手伝いすることになりそうです。
依然として続く余震、原発事故、そして委縮する経済状態。
かつてない未曽有の災害に見舞われた私たちもまた、当時の山古志の皆さんのように「人生の岐路」に立たされているのだと思います。未来へと足を踏み出すわたしたちへの、山古志からのメッセージ。
ぜひ皆さんもご覧になってください。


◆『1000年の山古志』上尾での上映会情報
【日時】2011年6月4日(土) (1)10:30〜 / (2)14:00〜(1日2回上映)
【料金】一般:当日900円(チラシ持参の方3名まで 一人800円)
    高校生以下:500円
【会場】上尾市コミュニティセンター
上尾市柏座4-2-3 TEL:048-775-0866
【主催】NPO法人埼玉映画ネットワーク −協力:深谷シネマ−
【お問合せ】TEL/FAX:048-855-9508


※上尾での上映会詳細はこちら↓
 http://ageo-cinema.jimdo.com/