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平成27年2月28日(土)、『ニューイヤーガラコンサート in 上尾』に行ってきました。

平成27年2月28日(土)、上尾市文化センター・大ホールで開催された『ニューイヤーガラコンサート in 上尾』に行ってきました。


このイベントは、上尾市在住や、ご出身が上尾市・・・といった、上尾市にゆかりのある声楽家やオペラ歌手のみなさんが一堂に会してのコンサートです。



☆以下、リーフレット記載の開催情報。


(ソプラノ)菊島真理さん、斎藤圭子さん、田中由佳さん、森明子さん、森陽子さん、山中久恵さん
(メゾソプラノ)新宮由理さん
(テノール)小林浩さん
(バス)上條力秀さん
(カウンターテナー)池田弦さん

※上記ソリストの皆さんのほか、ニューイヤー・コンサート合唱団の皆さん26名も参加。


(ピアノ)小島好弘さん、宮津日留人さん、山内直美さん
(バイオリン)池田敏美さん
(ナビゲーター)高山敦子さん


【主催】上尾市舞台芸術振興協会
【共催】上尾で良い音楽を聴く会
【後援】上尾市 上尾市教育委員会


第一部「ヴィオレッタのサロンへのお誘い」が13曲、15分の休憩を入れて、第二部「オルロフスキー公爵邸の晩餐会へのお誘い」も13曲。最後に全員で歌った乾杯の歌も入れると、合計なんと27曲が演奏されました。


耳なじみのある「椿姫」や「カルメン」といった有名な歌曲の一幕もあれば、「ずいずいずっころばし」、「相川おけさ」、「杓子売唄」といった日本のわらべ唄や民謡の歌唱もあり、久しぶりの生のクラッシック演奏に癒され大変贅沢なひとときを過ごすことができました。


どの楽曲の演奏もすばらしかったので、一曲ずつにコメントさせていただきたいところですが、ものすごーく久しぶりの「はてな日記」。あまり重たくなってもいけないので、印象的な場面のいくつかを取り上げて記録を残しておくことにします。


第一部は、パリの社交界の花形・ヴィオレッタ・ヴァレリーのサロンで繰り広げられるパーティーという設定。歌劇「椿姫』の『乾杯の歌』や「リゴレット」の『女心の歌』、「マクベス」から『さあ急いでいらっしゃい』などの名曲の数々が披露されました。


まず驚いたのが、2曲目の歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』よりの『エウリディーチェを失って』での池田弦さんの歌声です。まさか上尾の地で、こんなに魅惑的でつややかなカウンターテナーを生音で聴けるとは思ってもいませんでした!


続く3〜5曲目のドナウディの楽曲を歌い上げた森明子さんの歌声にも聴き惚れてしまいました。
「雲雀のように」、「ああ愛する人の」、「ああ、決してやめないでおくれ」の3曲を歌ってくださったのですが、甘く切なく官能的な女心を、透明感溢れるソプラノで見事に歌い上げておられました。森さんはなんと! 現在、小学校で教鞭も取られていらっしゃるのだとか。音楽の時間に見事な歌声が聴ける生徒さんたちがうらやましいです(^^)。


そして第一部最後の曲は、歌劇「ファウスト」より『宝石の歌』。
上尾商工会議所広報紙『あぴお』2015年2月号で紹介されていた田中由佳さんの登場です。


☆『あぴお』2015年2月号
http://www.ageocci.or.jp/apio/town/apio-2015-02.html


このコンサート、舞台の上にはグランドピアノが一台あるきりで、舞台装置や背景など何もなかったのですが、フレッシュグリーンのドレスで田中さんがご登場になると、舞台全体がパーっと明るく感じられてとても華やかになりました。文化センターの椅子はあまりすわり心地がよくないので、そろそろ身体がこわばり始める頃かなぁ・・・と思い疲れが出てきた時間だったので、爽やかで若々しいグリーンの色で身体にも元気をいただいたように思います。


第一部の最後となるこの楽曲は、悪魔メフィストが仕掛けたものとも知らず、マルグリットが宝石箱をみつけ中の宝石を身につけてしまう、という内容。田中さんの歌唱を聴かせていただくのは初めてだったのですが、身体にすーっとしみこんでいく安定感のある歌声が素晴らしかったです。パワフルな高音の伸びが圧倒的に身体全体に響いてくる場面もあり、表情豊かな歌声で存分に楽しませていただきました。


そして「オルロフスキー公爵邸の晩餐会」という設定での第二部は、楽しいオペレッタから始まりました。


歌劇「ナブッコ」より『行け、我が想いよ、金の翼にのって」、喜歌劇「こうもり」より「私はお客を呼ぶのが好きだ」、同じく「こうもり」より『公爵様、あなたのようなお方は」の3曲が、森陽子さん(ソプラノ)、池田弦さん(カウンターテナー)、上條力秀さん(バス)、小林浩さん(テノール)によって軽妙洒脱に演じられていてとてもとても楽しめました。
原語での歌唱の後、日本語訳でも歌ってくださったのも、とてもよかったです。
意味がよくわかるし、「この音にこの日本語をあてはめるとこうなるのね」なんていう楽しみ方もありましたから(^^


第二部中盤の[日本のわらべ唄/民謡コーナー」は、ピアノの宮津日留人さんによる曲解説に思いがけず目からうろこの体験もさせていただき、大変興味深く学ばせていただきました。


「ずいずいずっころばし」が、宇治から江戸に向かう「お茶壺道中の一行」を歌った内容だとか、「おけさ」は佐渡に限らず全国各地にあることや、「おてもやん」がイマドキにもしいたら、かなりハイパーギャルだったかもしれない・・・といった曲のバックグラウンドとなる知識を得た上で聴くと、その曲に対する感じ方もまた深まったように思います。
ソプラノの山中久恵さんが当時の庶民っぽい和装で唄ってくださったのもとてもよかった。日本語の美しさがしみじみと伝わる、そんな素敵な歌声でした。


第二部・12曲目の歌劇「フィガロの結婚」より『お先にどうぞ、綺麗な奥様』は、スザンナ役が菊島真理さん(ソプラノ)、そしてマルチェッリーナ役がなんと池田弦さん(カウンターテナー)でした。フィガロとスザンナの結婚を妨害しようとするマルチェッリーナとの激しい女の闘いが繰り広げられる場面の曲。池田さんと菊島さんの掛け合いは迫力満点!女の意地の張り合いがビンビンと伝わってきました。お二人の配役で、フルバージョンでも拝聴してみたかったです。


そして第二部・最後の曲は、歌劇「愛の妙薬」より『これこそ愛だわ』を、アディーナ役・田中由佳さん、ドゥルカマーラ役・上條力秀さんで披露してくださいました。
愛の妙薬、実は安いワインなのですが、この妙薬をめぐっての男女の機微、そして、ずるがしこい商人・ドゥルカマーラと賢いアディーナの応酬が繰り広げられる曲。間髪いれずに二人でかけあう場面の多い曲なのですが、それぞれのキャラクターの個性をしっかりと感じられて楽しめました。


田中さんはピンクのドレスで登場。ネモリーナにとって「自分のまなざしこそが愛の妙薬」と衒いもなくドゥルカマーラに言い放つアディーナの若さゆえの強さのようなものが見事に感じられる堂々たるすばらしい歌いっぷりでした。


埼玉在住も20年を超えて、すっかり根の生えてしまった感のある自分の暮らしぶりを、ふと振り返ってみました。
結婚前は都内に住居も職場もあったので、上野の森でよく生のクラッシック演奏を楽しんだものです。
長い間、生のオペラを楽しむことなんて当にあきらめていたけれど・・・。
地元・上尾で、しかも昼間の時間にこうして楽しむことが出来たのは、本当に貴重な経験になったと心の底から感謝したのでした。


文化センターから上尾駅までの帰り道、コンサート帰りのお客様たちがあれこれ話す声が耳に聞こえてきます。
私と同じように「家族のお昼の支度してから出てきたから、一時はちょっとあわただしかったけど、昼間にやってくれたのはよかったわね。主婦は夜は、なかなか家を空けられないから」という声も聞こえてくれば、「昔みたいに電車に乗って遠いところまで出かけられる体力はもうないわ。地元で聞けたのはよかった」というご高齢のお母様と娘さんも(^−^)
また、小学生くらいのお子さんと一緒のファミリーの姿も複数おみかけしました。


「来年もまた開催されるなら、ぜひ行きたいなぁ」と思いつつ、駅まで歩く私の脳内では「シャンパンに乾杯!」がずっと鳴り響いていました。
すばらしい音楽に乾杯!